伊藤詩織さんが監督を務めたドキュメンタリー映画『ブラックボックスディアーズ』が、複数の許諾を得ていない映像を使用しているとの指摘を受け、伊藤さんは謝罪の意を表明しました。この映画は、伊藤さんが性的暴行の被害者としての経験を描いたもので、刑事手続きでは訴処分となったものの、民事裁判での成行位に同意がなかったことが認められた過程を記録しています。
20日、都内で伊藤さんの元代理人弁護士らが記者会見を開き、問題の詳細を説明しました。会見では、ホテルの防犯カメラ映像が無断で使用されており、これが人権倫理上の問題を引き起こす可能性があると指摘されました。元代理人は、具体的な個人の特定を避けるための配慮が不足していることや、取材源の保護がなされていないことを強調しました。
伊藤さんは、映像を使用する際の承諾が抜け落ちてしまった方々に心よりお詫びし、最新バージョンでは個人が特定されないように対処する考えを示しました。また、防犯カメラの映像についてはホテルからの承諾が得られなかったため、加工して使用したと説明し、公益性を重視した結果であるとコメントしました。
『ブラックボックスディアーズ』は、アメリカのアカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞にノミネートされており、日本での公開は未定ですが、国際的な配信を目指しています。この作品を巡る論争は、伊藤さんの過去の事件に対する社会の関心を再燃させるものであり、今後の動向が注目されています。