大家政子さん、波乱に満ちた人生の最期を迎えた。かつては「女傑」と称され、資産300億円を誇る実業家であった彼女だが、その生涯は愛と裏切りに彩られていた。1920年に大阪で生まれた政子さんは、父親が衆議院議員を務める裕福な家庭に育ち、華やかな教育を受けた。しかし、19歳で父を失い、その後も兄の死や家族の没落に直面し、人生の転機を迎える。
政子さんは、戦後の困難を乗り越え、クラブ歌手として再出発。1950年に大手繊維メーカーの社長である大家晋三氏と結婚するが、彼の愛人問題や借金によって次第に苦境に追い込まれる。晋三氏の裏切りに対し、「没落したらあかんねん」という信念を持ち続けた政子さんは、不動産業に乗り出し、成功を収めた。
しかし、1996年には側近による横領が発覚し、100億円の負債を抱えることに。さらには、1997年に胃がんを宣告され、精神的にも追い詰められる。晩年、娘の年子さんの支えを受けながらも、彼女は強い意志を示し続け、最後まで誇りを持って生き抜いた。
1999年1月、政子さんは78歳でこの世を去り、自宅跡地は現在、娘が運営する老人ホームとなっている。彼女の波乱の人生は、愛と裏切り、苦悩と成功が交錯するものであり、その姿は多くの人々に深い印象を残した。彼女の生涯を振り返ると、成功の背後には人間不信や財産への執着があったことが浮かび上がる。政子さんの物語は、時代を超えて多くの教訓を私たちに伝えている。